●Kabar Baru Berita Lama
Kul-Kul(クルクル)
kul-kul photo01

 宿にいて、遠くからトントントンと木を叩く単調な音を聞いたことはありませんか?。これは、プラ(寺院)の儀式の始まりを告げたり、バンジャール(いちばん小さな村組織)などでゴトンロヨン(相互扶助)の連絡のために使われている通信なのです。
 この通信に使われている道具をクルクルと呼びます。クルクルは、内部が洞(うろ)になった円筒形や四角柱の木で中ほどに縦長に切りこみがあり、これを、やはり木の棒で叩きます。太鼓でも半鐘でもない洞木です。これを叩くことによって出る音が、通信手段として使われているのです。クルクルは今でも実用されていて、よく耳にすることができます。
 クルクルは、バリの伝統的な慣習に従って準備が整えられたのち作られます。まず、木材は強い霊力のある木が選ばれます。ジャティの木から作られることもありますが、おもににナンカの木で、それも芯の部分が使われます。いくつかの儀式が取り行なわれたあと「Undagi」と呼ばれる、職人によって作られます。そして、完成したクルクルは、ブサキにあるPr.Ulun Kulkul(ウルン・クルクル寺院)のTirta(聖水)によって清められたのちに、ようやく実際に使われることになります。
 クルクルは日除け、雨避けのための屋根のある高い塔の上にあり、この塔のことをBale Kulkulと呼びます。Bale Kulkulは、立派な建築物(上の写真)だったり、こんなところで昼寝をしたら、きっと気持ちがよいだろうと思われる木の上の小屋(右の写真)だったりします。プラのBale Kulkulには、たいていLanang(男性)とWadon(女性)のふたつのクルクルがあります。その他はひとつのクルクルでLanangとWadonの音を使い分けます。それぞれの場所のクルクルに、それぞれの役割があり、伝達内容によって叩かれるリズムが違い、村人はリズムの違いを聞き分けて、それぞれの役割につきます。叩き手のことはKesinomanと呼びます。
 クルクルはプリ(王宮)、プラ、バンジャール、田圃、バンジャールに所属するスカ・ゴン(ガムラン・グループ)などの集合体にそれぞれ備えられています。
プラ以外で、ひとつのBale Kulkulにふたつ以上のクルクルがある場合、これはバンジャールやスカ・ゴンなどが共同で場所を使っているのです。
 クルクルの役割は、プリで叩かれる時はおもに、プリで行なわれる結婚式や葬式などで村人に集合をかける時に叩きます。
 プラでは、オダラン(寺院祭礼)の始まりや終わり、そして、準備のためのゴトンロヨンの集合を告げます。
 バンジャールではおもに、ゴトンロヨンの時に叩きます。例えば、村の行事の集合や火事や泥棒が出た時などです。
 ちなみにバンジャールで叩かれるクルクルの音で、何を意味するのか幾つか例をあげてみます。これはバンジャールを警備をする人の詰め所であるPos Kamlinと呼ばれる建物に掲示してあるものです。

 (
印は叩く、/印は休止)
1) 殺人
[○○○○○○○○○○○○○○○○○]
2) 泥棒
[○○/○○/○○/○○/○○/○○/]
3) 火事
[○○○/○○○/○○○/○○○/○○○/]
4) 洪水、地震、嵐、噴火などの自然災害
[○○○/○/○○○/○/○○○/○/]
5) 事故
[○/○○○/○/○○○/○/○○○/]
6) 警備
[○/○/○//○/○/○//○/○/○//]
7) けんか
[○○/○○○//○○/○○○//○○/○○○//]
8) 騒ぎが治まり平穏がもどった
[○/○/○/○/○/○/○/○/○/]

 警報の時クルクルは、早く打ち鳴らされます。今度から、耳を澄ましてクルクルを音の聞いてみてください。今、この村で何が起こっているか理解できる、かもしれません。


contents
All contents copyright ゥ1998 Potomak corporation. All rights reserved.