●JEGOG -2-
“大地のうねり響く・竹筒楽器 ジェゴク”
和子 スウェントラ 
写真提供:小原孝博  
 これから数回、この『極楽通信』を通じて後援者の皆様にジェゴクの文化・音楽を紹介出来ることに感謝致します。文章を書くことが苦手ですが、皆様によりいっそうジェゴクの奥深い音の世界を知っていただく事を願い、ここに筆を取りました。



 ジェゴク音楽は、西部バリ島ジェンブラナ県ネガラ郡地域近辺から生まれました。特に、サンカルアグン村の農民が中心になって演奏しています。
 この竹筒楽器ジェゴクは、1928年頃に生まれた、と貴重な話を生証人の長老が語ってくれました。きっかけは村の連絡用。木筒、竹筒鐘から流れる音・リズムを聞き、心に打ち響く快感をうけ、好き者同志が集まり、自然体から生まれた木・竹筒でシンプルな楽器を作りました。木板で作ったジェゴクもありましたが、竹筒から作った鍵盤の音には対抗できませんでした。現在、ジェゴク楽器といえば竹筒です。
 ジェゴク音楽の復活者、(財)スアール・アグン芸術団のチームリーダーであるイ・クゥトッ・スウェントラ氏は、
 「竹は地球に人類が誕生する前に存在し、宇宙と地球のパワーを授かり生き伸び続けている。その竹が、われわれの暮らしの中で大切な役目を占めている。竹から、お寺の祭壇や家屋や生活の道具を作る。昔は竹から火を起こしたし、火葬の際のメルーや運搬に使われる道具はほとんど竹から出来ている。インドネシア独立の際には、竹の武器・槍でわれわれは勝利を手に入れた。われわれインドネシア人と竹は、切っても切れない関係なんだ。
 真っすぐ天に伸びる竹は、神と人が通る道である。竹の節は人間の生きるうえでの節目を現し、節から節の見えない風がパワーになる。
 楽器に使う竹を切る時期は、曜日、そして時間をバリ・カレンダーに従い、お供え物を捧げ、お祈りをしてからカットします。竹はカットしたが、竹の見えない命は生き続けている。
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フレーム正面に彫られたボーマ
 そして、いような音をうねり響かせ音を奏でているのだ。ジェゴクとして生き続けた竹は、やがてその役目を終え死を迎える。竹は演奏者の心によって生きる時間が変わってくる。竹が死んだら、燃やして土に還し、次期の生を待つのだ。」と語っています。竹と人間を結びつける深いつながりが存在するように思われます。

 竹を収穫してから、約3ヶ月から6ヶ月の間、風通しの良い土地に、根元を上にして乾燥させます。それから、専属の調律師によって鍵盤作りに入ります。

 音階はバリ・ヒンドゥー教の祈りが基礎となっています。一般にバリ音階は5音階ですが、ジュゴクの音階は、東西南北の神のパワーの4音階に、演奏者のパワーが一体となった5音階です。

 竹鍵盤の台は、タギ(Tagi)の木で作られています(現在はチーク材も使われる)。足は水牛の足型を模しています。両側には竜(地球のパワー・土台を現す)、鍵盤前のフレームは自然森林の神・ボーマ(Boma)を中心に、そのまわりは自然森林の植物がカラフルな色で描かれ、竹楽器の自然を強調しています。

 バチはダップ・ダップ(Dab Dab)の木で作られています。この木は、神殿や社作りに使う丸太木(直径10センチ位)で、あまり堅くなく、叩くと弾力のある音が出ます。そして、ゴム(タイヤ・生ゴム)も使います。ゴムのバチは木に比べて、打った時に弾力があり、攻撃を吸収するために響きをやわらげます。細かいリズムを軽やかに叩いて、次にまた叩くまでの響きをつなげ、重低音による深い音の流れを生むのです。

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 以上の準備が出来上がり、いよいよ農民演奏者の心と竹と温度、そして湿度が一体となり、うねり響き渡り、観衆の心にぶつかり合う。空気、竹、演奏者、観衆が一体になれるのが、このジェゴク演奏のマジックです。

 また今年も(財)スアール・アグン・ジェゴク団の日本公演があります。

●佐渡公演/アースセレブレーション'97
:8月22・23・24日
:佐渡 小木町 城山公園

●大阪ワークショップ
:8月26・27・28日
:茶化の里

●大阪公演/河内長野世界民族音楽祭
:8月29日
:河内長野ライブラリーホール

●横浜公演/音楽版地球の歩き方Vol.2
:8月30日
:神奈川県立音楽堂

●東京公演/インドネシア・日本友好祭1997
:8月31日
:かつしか・シンフォニー・モーツアルト・ホール

:ゴン・チィチィと共演

 お時間をつくって応援に来てくださいますことを望みます。
 次回は、ジェゴクの歴史・文化などを、お話ししたいと思っています。

 皆様のご活躍、ご健康を祈っています。

Terimakasih!
Sampai Jumpa Lagi !!

(財)スアール・アグン芸術団・バリ島

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●公演に関する日本での問い合わせ先
(株)カンバセーション
東京都千代田区神田小川町1-16-3
Tel:03-3233-1933
Fax:03-3293-7367
担当者:小南 ひろこ
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