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2009.7.7 [火] あ、これだ

さっきの日記で書いた団七の浴衣はこれで勘三郎が着てるやつ。わかりにくいけど。

よく考えたら幡随長兵衛も湯殿があるから似た格好なんだよなぁ…人数が多いと価値がわからなくなるのか??

2009.7.6 [月] 紫

今月の歌舞伎座に、『夏祭』という芝居がかかってます。
外題は、『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)。

ここ数年、七月というと玉さんの泉鏡花モノがお定まりだけれども、
今年の夜の部は鏡花の『天守物語』と海老蔵が団七初役の『夏祭』。

まあ、芝居の筋やデキの話は何もここで書く必要はなく。
なぜ真楽でかというと…
着物が素敵なの! もう、単純にそれだけです。


以前観た時も、夏祭の着物は素敵だなーと思ってたのを忘れてました。
今日再見してその記憶を反芻し、さらに確かなものにした次第。

だいたい、歌舞伎の着物は素敵だとか言っても、所詮舞台衣装。
柄の一つや、色合わせの例だとか、パーツ単位では参考にもしようが、
地味過ぎたり派手過ぎたり、あとは役を表現し過ぎてたり、
まあ、あまりリアルに「あんなの着たいな」とは思わない気がする。
あと、役者や家(型)や公演によって微妙に違ったりもするものも。

夏祭も、やっぱり公演が違えば微妙に違いはあるのだけれど、
今月の着物はすごくリアルで身近な感じでいい。
あれは誰が采配を揮うのかなー。

まず、団七(主人公)が獄中から出てきたあと身なりを整え、
こざっぱりとイイオトコで再登場するシーンの浴衣!これがいい。

これは公演が違っても、団七のこの場面はこの浴衣と決まってる。
細かい柄はよくわかんないけど(バリエーションもあるかもしれない)
白地に大胆な藍と朱の柄が効いていて、結いたての髷に映える映える。
白が、真っ白とはちょっと違う、なーんか柔らかい白なんだけど、
あれは何なのかなあ、生地の質がそうさせてるものなんだろうか。

今月の海老蔵は痩せてきたからちょっと物足りない感じもあるけど、
衣装だけでも男の色気が「やめてーっ」ってなるくらいぷんぷん匂う。

どうも白い浴衣って象徴的に使われるようで(揃いの祭衣装は別)、
以前観た髪結新三で湯上りの新三が花道を駈けて登場した時は、
菊五郎ということもあって蕩けそうなくらい格好よかった。
男はあれだね、自信があれば白地の浴衣に挑戦してみるといいかもね。
白塗りしか似合わないかは定かじゃないが、黒髪だろうな、やっぱ。

さて、その団七の奥さん(お梶)の着物もよかった。
夜みたいな藍色のしゃりっとした夏物に鬱金系の帯で品がある。
役的に品がある必要はない気もするが、でもよかった。

意外なところで、おつぎ(主人公の…えーと)の浴衣もよかった。
だいたい歌舞伎に出てくる浴衣って江戸モノは地味なんだが、
これは上方の芝居だし、今普通に着られる柄。帯は忘れちゃったな。
徳兵衛(主人公の兄弟分)の着物も普通によかったな、帯合わせが。
紺色の細かい柄に、緑の博多を締めててキリリといい。
そういえば団七も赤い博多を締めてたなあ…あの姿はホントいいなあ。

ちなみに団七と徳兵衛は芝居の途中で色違いの揃いを着て登場する。
子供みたいな大きな格子柄だけど、大の男が着てるのも悪くない。
まあ、芝居の内容から言って堅気が着るもんでもないかもしれんが。


それで、もう一つ素晴らしいなと思ったのは…『天守物語』の紫!

これはもう全編玉さんの美意識で貫かれているからして、
かなりモダンなセンスの色調でわりとハッキリしたものが多い。
玉さんに付く薄の打ち掛けの色なんかかなり現代的だと思う。

古典でやられると、あまりに衣装が主張して萎えることもあるけど、
『天守物語』なんか玉さんの玉さんによる玉さんのための芝居だから、
なーんも問題ない、やってくれただけ意気込みを買わせてもらう。

この芝居の衣装で特筆すべき点は2つ。
1つは亀姫(主人公のお友達)を迎える時のうちかけ。
手鞠とその紐が滝のように流れる柄は、何というか、なんもいえねー。
なんかね、構図がすごいです、これしかあり得ないところに紐がある。
絵画を羽織ってるような柄。

豪華さや華麗さで言うと玉さんの着物はもっとすごいのがあるから、
絵画といってもそういう意味では比較的地味な方なんだけれども、
絵の構図で言うとやっぱりなんかものすごい迫力の柄だった。
あれをね、自分で発注できる力ってやっぱすごいと思いますね。

だけどもっとすごいのは!紫!
主人公が最初に登場するシーンで、少しだけ部屋着として羽織る上着。
あれは何と言うのかな?部屋で着るものだけど道中着みたいな襟元で、
『加賀見山』の尾上も自室では羽織ってるものなんだけれど。

まあ、それが、その部屋着の色が、これ以上ない、完璧な紫だ。

紫は歌舞伎では本当によく出てくる色で、病鉢巻もそうだし、
花魁はだいたい紫縞を着ているし、武家の奥方も一芝居一人はまず紫。
ただ、どれも江戸っぽい紫だったり、上方っぽい紫だったり、
まあ言い換えると青みや彩度が強かったり、赤味やくすみが勝ったり、
○○な紫という説明がないと正しく言えないような紫だったりする。

これは、私が紫好きだから、というのも大いに関係するかもしれない。

しかしですね、今日遭遇した紫は、「完璧な紫色」です。
照明がどう影響してるかが解らないけど、差し引いて感知していたい。

青みもかからず、赤味もかからず、黄味もかからず、
彩度も艶もこれ以外あり得ないという、博物館に並べたい紫。
生地のとろみとの相性もバッチリ…ってより、
この世に生まれ落ちた時には生地だったみたいな。


あれは誰が何でどうやって染めたのかなあ…
玉さんのことだから、吉岡さんなんかにお願いしたものなのかなあ…

思い返すだけでうっとりする。


あの紫、人によってはそのためだけに歌舞伎座行ってもいいと思うよ。

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