最初にバリを訪れたのは4年と少し前だった。一人で旅をし、まだ誰もウブドに友人がいなかった頃、コミュニケーションの唯一の場がセゴールだった。
当然セゴールはオープンスペースであり壁はない。いろいろなバリ人、欧米人、日本人が騒いでいるのをながめながら、おもしろそうなテーブルにつく。そのテーブル(ワルン)で気に入った料理がなければ、隣のワルンから運ぶ。酒だけ、お茶だけオーダーしてもいいのだ。
現在ウブドには、バリの人たちと一緒にメシを"食える"場所がない。 |
レストランは外国人ばかりだし、ナシチャンプル屋では酒を飲みながら騒げない。ウブドで一番美味しいサテをかじりながらアラックを飲み、バリ人と遊ぶ。これが最もバリを知る一番楽しい方法だった。雨の日も、雨もりのするビニール屋根の下で何時間でも待つ。ちょっと臭いが、街のすがたが見えてくる。
街がきれいになるのもいいが、ウブドと一番コミュニケーションできる場所がなくなるのは、ウブドで一番美味しいサテがなくなったことより悲しい。
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